慌ただしく書記になったけど、その1週間前の9月下旬、町内で敬老行事が行われた。
対象は75歳以上で、集会所に集まったのは約40名だった。
記念品を150個くらい準備したと聞いたので、町内の75歳以上はそのくらいいらっしゃるのだろう。
65歳以上になると、400名を超えるというので驚いた。
私は前述したゴミステーション・防犯灯維持管理費の問題の他にも、せっかく活動をしているのだから、何かしら活動内容を発信できないかと考えていた。
数あるSNSの中から、写真がメインのInstagramがいいなと思い、会長や副会長に提案したところ、会長が「敬老行事の日に役所の課長が見えるから、あなたがやりたいと言ってるSNSをやってもいいか、尋ねてみたら」と言った。
「町内には何をやるにも、『どこの許可を取ってやってるのか』と言ってくる人がいるから、勝手にはできないのよ」とも言っていた。
その通りだと思った。私がいくらやりたいと言っても、自治会にとって有意義な目的がなければ誰も納得してくれないし、どこかの許可が必要なら取っておくべきである。
そこで課長に話しかけ、手短に自己紹介をし、自治会の活動をSNSで発信して知ってもらい、関心がない方にも興味を持ってもらいたいこと、自治会に入っていない方にもフォローしてもらい、情報伝達に役立てたいことなどを話した。
すると課長は「いいね!」と言った。
「実にいい!そういう考え方大賛成。僕が全面的にバックアップするから、どんどんやっていい。プライバシーの問題だけ気をつけないといけないけど、どこに許可を取ったか聞かれたら、本来許可とかいらないんだけど、うちの課が許可したと言ってくれていい」と心強い返事をもらった。
私は喜んで会長や副会長に報告し、自治会名(準備中)という名前のInstagram(非公開アカウント)を作り、発信をした。
どこにもPRしていないのでフォロワーはほどんどいなかったが、半年間、行事があれば発信しながら、年度末の総会に向けて準備をしていった。
総会というのは、毎年4月に決算報告や活動予定などを審議し承認を得るものだが、会長が「Instagram配信についても総会で承認を得た方がこの先やりやすいはず」と言った。
「デジタル関係のことは私にはちっとも分からないけど、あなたがしようとしていることは良いことだと思うから」と、会長は分からないなりにも理解しようとしてくれていた。
各役所がやっているSNSについての運用ポリシーを読み漁り、自治会のものを作り上げ、準備は整った。
ところで、敬老行事には以前私に「あんたみたいな若いのがいるから日本がダメになる」と言ったおじいちゃんも来ていた。
ちょっと足腰が弱っていたけど、お元気そうで何よりだった。
私はおばあちゃん子だったが、決してお年寄りが好きというわけではない。
けれども、町内で餅つきをした際、1人のおじいちゃんが私のところにきて、「今日はありがとう」と頭を下げた。
何のことかと思って黙っていたら、「餅つきの準備をしてくれてありがとう。餅が美味しかった。これで正月が迎えられる」と言った。
この方にとっては、餅つきをしたら正月が来るという感覚なのだろう。
私には、スーパーに行けば年中餅は売っているし、特別な感覚はなく、餅つきはめんどくさい行事だった。
餅つきをしたら正月が来るという、自分には無い感覚に触れ、大切にしなければならない行事なのかもと思った。
敬老行事では皆さんお弁当を食べ、お茶やビールを飲み、楽しそうにしていた。
「また来年もお会いしましょうね」と声を掛け合っていたのが印象的だった。